投稿(妄想)小説の部屋

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No.487 (2003/04/11 22:24) 投稿者:buddy

YMCAの真実 vol.1 忍バージョン

 こっちに来て半年が過ぎようとしていた。
 二葉は相変わらずもてている。男にも女にも。

 俺、俺は…。
 背だけはそんなに低くないと思うけど、横がないせいかハイスクールどころか、ジュニアハイの生徒に間違えられる時がしょちゅうある。

”キュート”と呼ばれるのも、最初のうちは嬉しかったけど、人によっては、”まだまだお子様”みたいなニュアンスがあるような気がして…。

 まあ、そんなことは最初から予想してたからいいんだけど…。

 問題は、二葉と俺の圧倒的な体力の差だ!!!

 こっちの大学はほんとうに勉強する。一週間で何冊もの本を読まされて、しかも翌週にはレポート提出という授業がほとんど。

 だから、毎日ぎりぎりまで図書館の常連。
 でも、それは俺だけじゃない。
 フレッシュマンのほとんどが、カリキュラムにくらいついている。
 もともと勉強好きの俺には、それは苦痛というより少しマゾ的要素も含む、ある意味楽しい日々だ。

 苦痛なのは、苦痛なのは、金曜日の夜と土曜日、そして日曜日の昼に行われる、パーティ、パーティ、またパーティ。

 皆、その時しか遊べないから、必死で遊び飲んだくれてる。
 で、一週間分のストレスを発散して、日曜の夜からまた机に向かっている。
 いったいいつぐっすり眠るんだろうと、毎週の乱痴気騒ぎにやや傍観者になりつつある俺。
 まあ、チーズと牛乳でカルシウムたっぷり取って育ってきた彼らとは、所詮、骨格からして違うから、体力の差はしょうがないんだろうけど。

 それでも、いろんな人と話して新しい知識を吸収するのは、すっごく楽しいから、体力不足を気にしつつ、誘われる限り参加しているけど、あんまり他の人と話し込んでいると、二葉が独占欲丸出しの、”俺の忍に手を出すな!”光線が気になるし…。

 そんな時は、早めにパーティから二人きりになれる場所に移動して、一緒の朝を迎えるんだけど。

 でも、二葉、こっち来てから、更に体力増強というか、際限がないというか…。

 半分はこちらの血とはいえ、もう半分は日本人なのに、なんでこっちの奴らと同じくらいタフなんだよ〜〜〜!!!

 少しは俺の体力も考えてと訴えようと思ったけど、それも何だか癪。
 だって、俺は二葉と同じ立場でいたくて、こっちに来たわけだから。
 そこで土曜の午前中は二葉に内緒で、YMCAで体力増強プログラムに挑戦中。
 大学の中にあるジムだと、すぐ見つかりそうだしさ。

「土曜日の午前中はお互い自由に過ごそうね」と、宣言するとき煩く詮索されると思ったけど、「おっ、いいじゃん!」なんて、あまりにも簡単な答え。

 でも、あんまり俺とばかりいるのも、お互いのためにならないって、思うようになってくれたのかな?

 あっ、ダウンタウンまで行くバスに遅れちゃう。
 二葉のしつこい追求よりも、初めて行くYMCAにドキドキしながら、俺はトレーニングウエアと水着とタオルを入れたバッグを手にして、部屋を飛び出した。

 これから行くYMCAがどんなところかも知らずに…。


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