ローパーのイベント特別編とは?(後編 その3)
だって“大和撫子”がいたんだ。着物を見るのが初めてでもないし振袖は毎年成人式の日に見る。美人だって見なれてるけど・・・。
お姫さまみたいだった。黒髪に白の着物、帯なんかひらひらしててちょっと見たことない着方だろ?暴○将軍にでてくる金持ちの町娘が目の前にいるみたいなカンジだ。
それに顔が俺の心をぶち抜いた! はっきり言って理想の女性を具現化したようだ。
「二葉、あの子お前の代わりに手伝ってくれてたからちゃんとお礼いいなよ」
「えっ!?」
「フフフ・・・かわいいだろ」
そんなセリフを残し、一樹は仕事に戻ってしまった。
俺にはラブラブな恋人がいる。今ごろ夢の中で俺にあっているに違いない俺の忍。だからナンパじゃなくても他のヤツに声かけることはしないんだ、ふだんなら。3日会ってない恋人に似ていた、忍が女で年上だったらそっくりだと思う。
浮気じゃないぜ忍! っといいわけをしながらもどうやって声をかけようか名前くらい聞いてもいいよなぁと考え中の二葉だった。
「なぁ、俺のかわりに手伝ってくれたんだって? サンキュ・・・混んでないしお礼に1杯おごるよ」
だが、完全無視。お盆にカクテルをのせてスタスタと二葉の横を通り過ぎて行った。本来負けず嫌いな性格なのでもう一度声をかけてみる。
「名前なんていうの? 俺は二葉。よく店にいるけど君はじめてだよね?」
言葉がやさしくなっているぞ俺! 近ごろ女なんてくどかねェからしっくりこね〜(涙)
カウンターまで戻ると一樹が手招きをしてその子を呼んだ。
手には繊細なフルートグラスには薄薔薇色の極上シャンパンを持っていたがその子に手渡すとそっと引き寄せた。
左側にはさっきの美女がグラスをもっていた。連れの男は静かにバーボンを飲んでいる。
「両手に美女を侍らせるなんて男冥利に尽きるよね〜」
と、言いながら右の子の髪にそっと唇をよせた。
あぁぁぁぁ〜なにしてんだ兄貴!
そして顔に顔を寄せると唇はよけてそのよこにチュっと。
「兄貴ぃ〜!!」
「なに? この子が気になるの? 俺のお気に入りだから手出すなよ二葉。」
「出す前に相手にされてねぇ・・・ぁ・・・」
「へぇー」
「名前聞こうとしただけだぞ!」
一樹はいつの間にか着物美人だけを腕の中におさめ耳元でなにかを・・・いちゃつくな!
またなにかを言われると思ったのだが一樹はシャンパンの入ったグラスを4つトレーにのせてエマたちの方に行ってしまった。
「えっと・・・名前だけ教えてくれる? なんて呼んでいいかわからないからさ」
弱気だ俺! それにしてもシャンパンを飲んでいる口元なんか色っぽいなぁ〜手なんかほっそりとして重いものなんかもてなそうだぜ。
コトンッとグラスを置くと俺を見て微笑んでくれて小さな声でユリと言ったんだ。