投稿(妄想)小説の部屋

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No.354 (2001/09/03 23:58) 投稿者:明葵月

ローパーのイベント特別編とは?(後編 その1)

≪おかけになった電話は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためかかりません・・・≫
「・・・チッ、なんで出ないんだよ!」
 あきらめて携帯を切ったが昨日から連絡がつかない恋人が心配でたまらない。
 今日は1日ママのショッピングに付き合わされていたので朝からそわそわしていたのだ。なのに夜になっても忍は捕まらないときた! 当初の予定は昼ごろに忍のところに行き、熱を計ったりパジャマ着替えさせたりおかゆ作ってやったりと考えていたのだが、10時過ぎに起きて行くとママが待ち構えていたのだ。『ママと久しぶりにデートしましょ』と言われてしまった。もちろん俺は忍の看病に行きたいのだと訴えたが、『忍ちゃんは具合が悪いのよ? 押しかけたら失礼よ。それに二葉がいったら治るものも治らなくなちゃうわ』と押し切られてしまったのだ。
 違う〜俺が行って愛のこもった看病で忍は元気になるんだぁ! っと心では思ってもママには逆らえない二葉だった。
 そんな時、携帯が鳴ったので名前も確認せずにでると一樹だった。
「なんだ兄貴かぁ〜」
「ごあいさつなセリフだね。忍でも待ってたの? あの子なら・・・」
「忍!? なんか知ってんのか? 朝から電話出ないんだぞ!」
「落ち着きなさい。忍なら午後に病院連れってって家で寝かしてあるよ、夏ばてだから睡眠の邪魔しちゃダメだからな!」
「・・・・・そっか」
 ママも一樹も忍が夏ばてなのは俺が原因だって決めつけて! それになんで病院から家まで一樹が一緒なんだよぉー(内心超複雑)
 ぜってぇ誕生日には自動車の免許取ってやる! っと心に決めたのだった。
「あぁお前、今から店に来てくれないか? 人手が足らないんだ」
「忍は寝てるんだな・・・行くよ、じゃ」
   ☆   ★   ☆
「卓也、そのしかめっつらやめてくれる? せっかくイイ男なんだから」
「なにが病院連れて行って寝かしてあるだよ。しかめっつらにもなるだろうが!」
「かわいい嘘だろう? これから二葉には楽しい事を用意してあげてるんだから」
 もうこの男になにを言っても無駄だった。前から忍をかまって弟をからかっていたが今回は下準備も計画も完璧なのが気にかかる。もしも香港で仕事ばかりしている奴の名前を出すだけでも危険だろう。これ以上一樹を刺激したら自分にも被害が来るので卓也は寡黙なバーテンに戻っていった。
「ねぇ〜みてみて!!!」
 エマとトリマキが2人が興奮ぎみでカウンターまでやってきた。
 それに続き残りの2人ともう1人・・・
 まだ少ない客の視線を引き付けゆっくりとあるいてきたのは日本人形。
 肌理の細かい白い肌、絹のように艶のある黒髪に長いまつげに縁取られたブラウンの瞳。小さくて形のいい唇はローズピンクに染められていた。
 白の着物は光の角度により時折銀にも見え、肩裾には黒や金で抽象的な桜を描いた京友禅。帯も黒なのだが金糸や銀糸で小さな桜が散りばめられていて、後ろは舞妓さんのように二本垂れ下がっており腕のいい職人が作り上げた見事な日本人形のようだった。
 一樹は優雅に近寄っていくとやさしく手を取りそっと唇をつけた。
「かっ一樹さん!!!!!」
「忍〜すごく似合ってるよ! 今すぐ口説きたいぐらい・・・」
 カウンターの中では卓也がため息をついていた。
「卓也隠してもだめよぉ。バンビちゃんに見とれてたでしょ? ウサギちゃんにいちゃうわよフフフ・・・」
 女という生き物は不思議だ。自分よりキレイな女は嫌いな癖してきれいな男とかわいい男にはやさしい。
「じゃ動きにくいだろうけどがんばってね」
 にっこりと一樹に微笑まれた忍は抵抗する力はないようだ。
 いきなり服を脱がされ長襦袢を着せられたら一樹と交代で女性3人が着付けやら化粧やらかつらやら・・・おもちゃにされまくったのだ。助けたいのは山々だが口をだしたら自分がどうなるか恐ろしいので黙っている卓也だった。


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