一樹 VS 卓也
ここはイエロー・パープル、通称ローパー
支配人である俺、一樹・フレモントと従兄弟の桔梗の恋人芳賀卓也で、経営している。つい最近俺の店になったばかり…
卓也はさ、頼れるんだよね。
卓也がいなかったら俺の店になってたかどうか…そのくらい信頼してるわけ。俺の一番の理解者ってとこかな。
まぁ、恋愛感に関しては理解不能らしいけどさ…
「なんだ、またセクハラか…」
「いいじゃない、まだ開店まで時間あるんだし…」
「…おまえなぁ…」
俺が卓也の肩にしなだれかかったって、ときには首筋に唇をおしつけたって、こんな程度にか反論しない。
それがたまらなくつまらないときがあってさ、俺の血が騒ぐんだよね。本気で誘惑しちゃおかな…なんて…もちろん桔梗には内緒。
卓也だって俺がそんなこと考えてるなんて思ってもみないだろうし。
まじめだからね、卓也は…
きょうは店が混んでて俺も卓也もクタクタだったから、カウンターで少し飲んで上に泊まることにした。
…チャンス…
「ね、卓也」
「ん!?」
「一緒にシャワー浴びない?」
「酔ってんのか?」
「ぜんぜん」
「じゃあ、なんだ」
「卓也のセクシーボディ見たくなったから…」
「慧嫻に電話するぞ!!」
「平気、平気…ナンパならOKだから…」
「…だから…じゃないだろ」
『どうにかしてくれ、この男』って顔の卓也…
フフ、ぞくぞくするな。
「シャワーしよ」
「ひとりでしろ!!」
「今度シャワールーム広くしようか…ゆったり入れるし、時間の節約にもなるでしょ!?」
卓也が呆れ顔でソファーに向かって歩きだしたから俺も後をついてく
「シャワーするんじゃなかったのか」
「卓也がしないんならいい」
「…俺は寝るぞ」
ここのソファーは大きい。
でも、いくら大きいって言っても桔梗や忍ってわけじゃないから俺達二人じゃ少し窮屈かな。
「こら一樹、いい加減にしろ。」
「いいじゃない」
「なぁ…」
「なに?」
「俺からかっておもしろいか?」
「…からかってない…って言ったら?」
「じゃあ…………」
俺の頭を挟むように両手をおく
そして、ふいに落とされた卓也の唇…
俺は一瞬硬直した。あの卓也が、俺に…
「俺の勝ちだな。」
「…卓也!?」
「目には目を、セクハラにはセクハラを…だ。」
おそるべし芳賀卓也、ナンパ師一樹・フレモントを逆手にとるとは…
「卓也、よき理解者をもって俺は幸せだよ。」
「おまえに付き合って何年になると思ってんだ。俺に対するセクハラはいいかげん止めろ」
「そんなこと言って…卓也だって結構楽しんでたみたいだけどな。」
俺は極上の笑みを返してやった。
「フン、続きはなしだぞ」
そう言うと隣の男は背を向けてしまった。
こうして俺達の朝に近い夜は更けていく…