一樹 VS 卓也
「卓也の腕の中で溶けさせて…」
「…おまえ、自分が何言ってるかわかってんのか!?」
卓也は俺のこと見ないし、グラスを揃える手すら止めない。相手にされてないの…俺…
「わかってるさ。忍じゃすぐ二葉にばれちゃうし、桔梗はおまえ一筋だから…ね…」
「で、なんで俺なんだ?」
「…う〜ん…」
開店数時間前、最近の二人の会話。あの日、卓也に負けて以来続いてる…こうなったら、一樹・フレモントの名にかけて!! なんてさ、俺も大人気無いな…フフ…
でもさ
なんで卓也はアヴァンチュールを楽しもうと思わないのかな。
気心知れた俺が相手なら問題ない思うんだけどね。
そりゃあ、かわいい桔梗にとっては真面目ないい恋人だと思うよ。
あっと、これは保護者としての俺の意見…だからこそ、まんねりで何かおきたら俺としてもやるせないし。
で、忍…この子は手の中でころがしたいタイプで俺のお気に入り感のいい二葉…いや、態度にでてしまう忍に手だしはできないな。
あとで二葉が何をするかと思うと…弟だからね、あいつのしそうなことぐらいわかる。
それに俺はさ、卓也みたいな頼れる男が好きなんだよね…
さて、どうしたもんかな…って、1人であれこれ考えてる自分が急におかしくなって、大笑いしてしまった。
「…おい、一樹…」
びっくりしたのは卓也
そりゃあそうだよね、いきなり俺が大声で笑い出したんだからさ…
「おまえ、大丈夫か」
「狂ってないから安心して。でも、心配してくれるんだ…卓也、好き…結婚して…」
「…こら!! 離れろ…」
すきをねらって卓也に抱きついたらあわてちゃってさ…卓也って…本当は…俺の唇を奪ったあの日の卓也は…あのときの俺の行動は予想できてたからで、これが本当の卓也…だよね。
これ以上いじめたらかわいそうかな…
「卓也、やっぱり俺の勝ちだよね。」
「なにがだ?」
「フフ…なんでもない…」
「変な奴だな…仕事してくれよな、支配人…もうすぐ開店だぜ。」
卓也へはいつものセクハラでやめておこう。
俺にとってはただのスキンシップってやつなんだけどな…さて、次のターゲットは…まだまだ、俺の危ないセクハラは終わりそうにない。