Mind
「二葉…二葉…二葉…」
忍が呪文を唱えるように俺の名を呟いてる。
あの日、俺が伊田に嫉妬して忍の額に唇を寄せたときからだ。
あのとき忍はいやがらなかった。
それよりも、何かを探してるような瞳をしてた…
俺は、祈る思いで忍の隣に座った。
「…何か、思い出せそうか?」
忍はうつむき、静かに首を横に振る
「そっか…」
「…ごめんね。」
「あやまることないって…それより…」
俺はそこで言葉をのんだ。聞いてみたいことがある…
何故、額へ寄せた唇をいやがらなかったのか?
でも…
「二葉…何!?」
「いや、なんでもねえよ。」
俺は無意識のうちに忍の肩を引き寄せてた。
「…忍!?」
俺の肩に頭をおとなしくあずけている忍。条件反射…!?
そう思った瞬間『ごめん』という声とともに肩のぬくもりがきえた。
「二葉にふれてると、落ち着くんだ。
不安な気持ちも、焦る気持ちもすっと引いてく…」
独り言のように忍が話す。
「なら、俺にくっついてろよ。」
俺は忍の頭をもとにもどした。忍の瞳が一瞬ゆらぐ…
「…二…葉…」
「俺はかまわないぜ!! ずっとこうしたかったんだ。でもよ、本当は…」
もうすこしだ。
そんな気がする。
だから焦っちゃまずいんだよな…俺は俺に言い聞かせた。