Tommrow
伊田はフラリと忍の前に現れる。ここはロスだぜ…なのによ…
まぁ、いつも俺が一緒だから何するわけでもねぇけどな。
ただ、忍の変化のきっかけはこいつだった。気にいらねぇけどそれは見とめるっきゃなんねぇだろうな。
「池谷先輩、俺あのときカウントしないって言ったけど…」
「伊田、てめぇ…」
「あなたは黙っててくれませんか。」
「なんだと!!」
「頭に血がのぼりやすいんですね。そんなんじゃ先輩を追い詰める
だけじゃないですか…」
俺が、忍を追い詰めてるって…留学で悩んでたときのことか…
「だからあのときだって…」
「もしかして、宣戦布告?」
「俺は先輩のことをおもって黙ってた。でも…」
「でも、なんだ? 記憶のない忍に告白か、あん!? おまえのがよっぽど忍のこと追い詰めようとしてんじゃねぇの」
伊田は俺の言葉に唇を噛み黙った。
「…なら、先輩の記憶がもどったら…」
「それでも、忍がおまえになびく可能性は0だな。すっぱりあきらめて帰りな」
「そんな簡単に諦めませんよ。人を好きになるって…簡単なことじゃない、諦めるなんて簡単なことじゃない…俺はそう思ってます」
人を好きになること…か
俺も忍を諦めきれなかったもんな。
今はもう忍のいない生活なんて考えらんないしな…
このままが続くって信じてるし、自信はある。
でもよ、このままの状態じゃ不安にもなるよな…
「二葉…」
「あいつのことなら心配すんな。俺がいるだろ」
「そうだね、二葉がいるもんね。」
「忍…」
「俺、二葉が好きだよ
前の俺達のことはどうしても思いだせないんだ、でも俺…二葉以外の誰かを好きになんて考えられないんだ。二葉がいなくなったらって思ったよ、そしたら胸が苦しくて…前にもこんな感じを受けたような気がする…だからもう何も思い出せなくても、二葉がいてくれればそれで…」
忍の瞳から涙が溢れてた。
久しぶりに見る忍の涙…俺の忍…
俺はこのことを報告するため兄貴に電話した。もちろんコレクトコールでな。
『…そう、よかったね。二葉。でも、残念だな、そばにおいとけば可愛い忍は俺のものになってたかもしれないって思うとさ…』
「一樹!! いーかげん誰かと落ち着けよな。」
やれやれ…相変わらずだ。卓也に躾たのまねぇとな…
一から出なおしだけど、俺達は恋人同士だ
以前の俺達に戻るのに、そう時間はかからないさ
俺は誰よりもこいつのこと知ってるしな。
でもって、忍が記憶を取り戻したら、今までのツケをまわせばいーさ
「なっ…忍」