投稿(妄想)小説の部屋

ここは、みなさんからの投稿小説を紹介するページです。
投稿はこちらのページから。 感想は、投稿小説専用の掲示板へお願いします。

No.17 (2000/04/21 14:50) 投稿者:おとこ教室組合(ZAKKO)

おとこ教室・2 〜忍&二葉編〜

「待てよ」
 いきなり忍の手を掴み上げ、二葉は自分の方へと引き寄せた。
 いつもなら、触れた場所からは優しさが伝わってくるはずなのに、今日の二葉からは今にも爆発しそうな怒りしか伝わってこない。
「な、何するんだよ!?」
「分かってんだぞ…さっさと見せろよ」
 眉間にしわを寄せていつになく怒った様子の二葉に、忍はびくっと肩を震わせた。
 戸惑う忍をよそに、二葉がシャツの袖をまくり上げると、そこにはドキッとしてしまう程白い肌が……は置いといて……どうした事か、忍の白く細い二の腕には、痛々しい程のアザができていた。
 自分の腕に付いているアザに気付いた途端、忍の肩が小さく弾けた。
 これは……きっと、昨日例の場所で開脚前転十連発をして、回りすぎでふらふらしてしまい、壁に激突した時にできてしまったものだろう。
「やっぱりな…さっき、ちょっとぶつかっただけで痛そうな顔したの、見逃してないからな、俺! これ一体どうしたんだッ!?」
「ちょっ、放してよ二葉! 何でもないから…!」
 あせってアザを隠そうとする忍に、二葉はおもむろに言い放った。
「隠すんじゃねーよ! あの、ヘンな道場でやられたんだろッ?」
「へ、変なんかじゃ…」
 二葉が、自分が『おとこ教室』に通っているのを快く思っていないのを
薄々感じている忍は、強く反論する事ができず、思わず口篭もってしまう。
「ヘンだよ! 大体『おとこ教室』なんてネーミングからしてアヤしいんだよ!!」
 眉を吊り上げて忍に迫ると、いつもは春のやさしい日差しのような柔らかい微笑みを浮かべている可愛らしい顔が、一瞬で暗く曇ってしまった。
 二葉はそんな事にはお構いなしで尚も迫る。
「お前可愛いからからまれてんだろっ、なあそーだろ! どいつがやったんだ、あの講師の江端ってヤローかッ!?」
「! 何言ってるんだよっ、江端さんはそんな事しないよ!!」
 自分から話を振ったくせに、忍が他の男をかばうのを聞いた二葉はついカッとなって、掴んだ手に力を入れて更に忍を引き寄せた。
「そんな事って何だッ!? まさかお前っ、そいつに変な事されてねーだろ……」
「二葉のバカ――――ッ!!」
 忍は最後まで言わせずに、二葉を突き飛ばすと駆け出して行ってしまった。
「(二葉のバカバカ! 俺、江端さんのお話聞いて…二葉を守れる様に、頑張ろうって思ったのに…っ!!)」
 とり残された二葉はしばし何かを考えていた様だったが、小さく頷くとどこかへ走り去った。
 ……そして、次の日。
『おとこ教室』の道場には、道着を身に付けた二葉の姿があった……。

「新入り……だな? お前も『おとこ』になりに来たのか?」
 道着をモデルらしくスタイリッシュに着こなしている二葉に思いきり睨み付けられた江端は、表情も変えずに彼に話しかけた。
「あんたが例の講師かっ! 『おとこ教室』なんてふざけた名前つけやがってっっ! ここでろくでもないことやってんのは分かってんだっ! 俺が全て暴いてやるっっ!」
 今にも掴みかかっていきそうな勢いで、二葉は江端に怒鳴りつける。
「二葉っっ! 何でこんなとこにいるのさっ!」
 ちょうどたった今道場に入ってきた忍が、ここにいるはずのない二葉の姿に驚き、駆け寄ってくる。
「何でじゃねぇよっ! 好きな奴にそういうことされるのムカつくって言ったろ!」
「だから、本当に何も隠してないってば!」
 前日と同じ言い争いを繰り返す二人に、他の受講生達は口も挟めず、ただ眺めている事しかできない。
 夫婦喧嘩は犬も食わない…誰かが呟いたその言葉は、幸い痴話喧嘩真っ最中の忍と二葉には届いていなかった。
「……何を暴きたいのかは知らないが……」
受講生達と同じく、しばらく彼らを眺めていた江端が口を挟んだ。
「まあいいだろう。しばらく彼らと一緒に修行してみろ」
 無表情な江端に淡々とそう言われ、二葉はものすごい目つきで彼を睨みつけたが、大抵の人間ならひるんでしまうであろうその凄みも、江端には全く通用していないようだった。
 けれど二葉は忍の為にも、この男に負けるわけにはいかない。
「上等だっ! やってやろうじゃねーかっっ!!」
 こうして、二葉にも修行の日々がやってきたのであった。


このお話の続きを読む | この投稿者の作品をもっと読む | 投稿小説目次TOPに戻る