投稿(妄想)小説の部屋

ここは、みなさんからの投稿小説を紹介するページです。
投稿はこちらのページから。 感想は、投稿小説専用の掲示板へお願いします。

No.4 (2000/04/05 14:56) 投稿者:錏ー爺と堕魔。

アイドル伝説 クール・ざ・トリオ(番外編)VOL.1

(登場人物紹介)
【クール・ざ・トリオ】
通称クール。貴奨、光輝、香の3人で組まれたアイドルグループ。
つい最近デビューしたばかりだが、デビュー曲『恋はピンク★ショック』も好調な売れ行きを見せ、トレードマークとも言えるホットパンツが大流行したりと、とかく時代の流れに乗っている。セカンドシングルは伝説のプロデューサー、K・Fによるプロデュースが話題となり、その発売が心待ちにされている。期待の大型新人。(萩原プロ所属)
【キッス・エフエム】
通称キスエフ。桔梗、忍、慎吾、二葉、正道の5人で結成された、もう何年もトップを独走しつづけている超人気アイドルグループ。(桜庭プロ所属)
【プリシラ】
本名慧嫻。その可憐な容姿と、たどたどしい日本語を操りながらもなんにでもひたむきなその姿に、アジアの妖精とうたわれ、主にバラエティー番組で活躍している。最近ファーストシングル「大都会」を出し健闘中。
K・Fのプロデュースを獲得するべく、知名度をあげることを現在第1の目標としている。(萩原プロ所属)
【向井健】
みずからの孫の可愛さを歌い上げた『孫』が爆発的ヒットをあげ、今や時の人となった脅威の新人演歌歌手。
【ヨウコウ】
その素性は全て謎とされるが、世の男たちのカリスマであり、常に熱い男の魂を歌い続けるシンガーソングライター。
【一樹・フレモント】
通称K・Fと呼ばれる、ミリオンセラー製造マシーン。大物プロデューサー。

(プロデューサーK・Fの部屋)

 数多くのヒット曲を世に送り出している一樹・フレモントは、忙しい毎日の中、久しぶりにとれたオフの日を自宅でゆっくりと楽しんでいた。
「ほう、今年のキャベツは不作なのか…」
 ワイングラス片手に新聞を斜め読みし、最後にテレビ欄を何気に眺めた。

 | |   戦の行方は  3394835|
 |―|03  アイドル達の夢の共演 |
 | |    結構寒中・大水泳大会 |
 |7|   ”春の乱”混戦スペシャ|
 | |   ル▽超豪華開会式、ヒッ|
 |―|   トメドレーの嵐!▽キス|
 | |   エフVSクール、どちらが|
 |8|   勝つ?!超豪華賞品を手|
 | |   にするのはJグループの |
 |―|   …▽あの人がまさか…ク|
 | |   ールのKが、キスエフのS|
 |9|   が、Pが…▽ポロリあり?|
 | |   Yマジ切れ◇N 241061|
 |――――――――――――――――|
 | |00 クイズ・性の差なんて   |
 | |   今夜3連覇なるか?川 |

「ふっ、水泳大会ね。くだらないな。しかし…彼らが出るのか…」
 一樹はおもむろに傍らにあったリモコンを手にし、テレビの電源を入れた。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

「今年もやってまいりました!春先のがまん大会、もとい、アイドル達の大水泳大会です! わたくし、今年も進行を務めさせていただきます○本○朗です。よろしくお願いします!」
「同じく司会の○田○子です。よろしくお願いします!」
 二人が挨拶を済ませると、華々しい音楽とともに、思い思いの水着を来たアイドル達が笑顔で手を振りながら登場し始めた。周囲を覆う観客席から割れんばかりの嬌声と拍手が鳴り響く。
「今年はしかし、例年にない寒さですね。桜もまだ全然咲いていませんよ」
「アイドルの方達大変ですよね。皆さん、お若いからいいですけど、私なんて水に入るどころか、水着姿になるだけでも体調を崩して寝こみそうですよ。やっぱり年はとりたくないですよねぇ」
 27歳の女性アナウンサーがそうコメントしていた丁度その時、画面では偶然、平均年齢約30歳のクール・ざ・トリオが大写しになっており、ディレクターが慌てて映像をきり変える。話題を変えろと指示され、司会者は慌てて進行を早めた。
「水着姿といえば、今回も皆さん華やかですね。プリシラさんはチューリップの柄のトランクスタイプ。可愛らしいですねぇ。そして、キスエフはなんと、スクール水着ですよ! 瑞々しい若さが全開ですね!」
「クールの皆さんは、今回の為にトレードマークのホットパンツ型の水着を作られたみたいです。彼らの人気で、全国のサラリーマン達が会社にホットパンツを履いて通勤するという、いわば社会現象までおきましたからね」
「もしかしたらあの水着も流行るんじゃないですか」
「そうですね。背中に背負われている羽根も、これもトレードマークですよね。クールの皆さんの周りは、本当にぱっと花が咲いたみたいで…」
「凄いねぇ…」
 わさわさと音を立てながら、重そうな羽根を背負い、ホットパンツから伸びるしなやかな足でステップを踏みながら登場する彼らは、その羽根が隣の忍の敏感な首筋にあたり、油断していた忍をわななかせたり、ふとステップでよろめき、正道の足を思いっきり踏んだりもし、とにかく人目を引いた。
 司会者や観客だけでなく、他の出演者まで圧倒する彼らのその姿は、新人アイドルながらも堂々としたものだった。
 その後も、ボディスーツで露出度ゼロで顰蹙を買った錏ー爺と堕魔。や、必要最低限と思われる布地で作られたビキニを颯爽と履きこなし、観客に多数の失神者を生み出した演歌代表の向井健、フンドシ姿でこれまた狂乱を生んだ特別出演のシンガーソングライターのヨウコウなど、次々と出演者が登場しては紹介されていった。


このお話の続きを読む | 投稿小説目次TOPに戻る