投稿(妄想)小説の部屋

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No.186 (2001/02/14 01:58) 投稿者:ZAKKO

芹沢さんちの慎吾くん《バレンタイン編》

 2月14日。今日は日本全国津々浦々、女の子達の大切な日です。
 それと関係あるのかどうかは分かりませんが…今夜、貴奨さんのマンションでは鍋パーティーが行なわれる予定でした。
 勿論自分から言い出した訳ではなく、実際はちび慎吾君の『皆を呼んでおいてねっ♪』というお願いに、常識人・貴奨さんが
「夜、仕事の後に集めるなら……食事の用意位はしておかないとな」
と思い、そういう事になったのです。
 その日偶然休みだった貴奨さんは(注:実際には絶対休めない日です…/笑)
 意外に甲斐甲斐しく買い出しになど出掛け、材料の下拵えを始めるところでした。
 そこへ鳴り響く、インターフォンの音。ドアの向こうに現われたのは……
「君か…約束の時間には、まだ早いんじゃないのか」
「暇人なもんで。そろそろ、シンが帰ってくる頃でしょう?」
 土産です、と言って笑顔でワインの瓶を差し出してくる健ちゃんの姿です。
 鍋にワイン…と一瞬眉をひそめた貴奨さんでしたが、ここで中に入れないのも大人気ないと思い、しぶしぶチェーンをはずしました。
「あ、夜の準備っスか。俺の事は構わねーで、ささ、ドーゾ」
 勝手にキッチンまでついてきた健ちゃんは、引きずってきた椅子に逆にまたがると、背もたれのところに肘をついて顎をささえながら、袋から野菜を取り出す貴奨さんを眺めます。
「いーですねぇ。イイ男の、エプロン姿」
 ニヤニヤしながら言う健ちゃんに、貴奨さんは『無駄口をたたく前に、手伝います、位言えんのか』とばかりの視線をくれましたが……
(実際に言われたら……それはそれで嫌かもしれんな)
 と思い直し、それを口にするのはやめました。
「今夜は、シンの奴の招待なんですよねぇ…何企んでやがるのか…ところで貴奨さん、今日はそういやバレンタインでしたよね〜?」
 さり気なく(しかし実はわざとらしく)話を振ってくる健ちゃんに、貴奨さんが小さく笑います。
「ふっ…甘いな、向井君。そう、まるでチョコレートの様に」
「何…ッ?」
「せっかくのバレンタイン、もらうばかりが能ではないだろう」
 貴奨さんの言葉に、ハッ、と息を飲む健ちゃん。
「貴奨さん……まさかッ?!」
 またもやフッ、と笑った貴奨さんは、荷物から出した紙袋をまるで見せ付けるかのごとく、顔の横に掲げました。
「駅前のベーカリーの、チョココロネだ。…最近の慎吾は、これがお気に入りでな」
 ガタン、と立ち上がった健ちゃんは、それを聞いて唇を噛みしめます。
(くッ…俺りゃもらう事しか考えてなかったから手ブラ…それに比べて貴奨さんは…ッ)
 それも、用意していたのは只のチョコレートではなく、チョココロネです…
 ひねりが効いています。更にそれは、慎吾君の好物だというではありませんか!
「ま、負けた……」
 ガックリと肩を落とした健ちゃんは、しかし、
「ただいまーっ! おやつ何? …あっ、チョココロネだーーっv」
 丁度小学校から帰ってきた慎吾君があげた歓声を背に『今回だけはなッ!!』と、心の中で付け加えるのを忘れませんでした……。


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