「ばれんたいん。」1
桔梗と忍がやってきたのはかきいれどきで忙しく、女の子達が多くいるデパートの地下街。何故こんなに若い女の子がいるのかと桔梗に聞いたら、
「バレンタインだよ。」
そういわれてやっと思い出した。年に一回女の子から男の子に告白する日。
近年そんな事は年中どこでもやられて入るが、毎年この時期になると盛り上がる行事である。
忍の認識としてはあくまで女の子から好きな人にチョコレートを渡す日と言うもので、男の自分としては貰う方なので関係の無い事の用に思えた。
そんなわけでどうして桔梗がこんな所に自分を連れてきたのか意味がわからなかった。
「で、何しにここに来たの?」
「何言ってるんだよ、俺達もチョコレート買いに来たの。」
言っている意味が分からず首をかしげる。
「なんで? 女の子の為の行事だろ?」
「ちがうよ。なにそれ、イエスキリストの生まれた日! 好きな人に何かプレゼントする日。」
「そうなんだ。」
だからといって、何故僕達はここにいるの?なんて顔をしていると桔梗は眉間にしわを寄せ険しい顔になる。
「もしかして忍去年とか双葉に何もしなかったの?」
「去年?」
去年の今ごろか…?
たしか双葉が何かくれた気が…。
「チョコレートじゃなくて指輪もらったかも…。」
「お返しは?」
「……。」
言いたくは無かった。今思い出した。
そういえば去年のバレンタインは、学校の後輩にチョコレートをもらって、その日がバレンタインだと言う認識はあったけど双葉には何もしなくて。学校の帰りに双葉と待ち合わせをして海に行って、指輪もらって。それをもらう理由はわからなかったけど御礼を言って、お返しが無いっていったら体で返してと言って一晩中抱かれてたんだ。
そしたら次の日腰が立たなくなって、学校いけなくなったんだ。
ベットの上から学校に電話してその後また、もらったチョコレートが見つかって…。
ああああああああ、思い出したく無かったけど思い出してよかったかも。
赤くなった後に青くなった僕の顔で桔梗は何があったのか大体分かったらしく、大げさにため息をつく。
「可愛そうに双葉…。」
「なんで? 仕方ないじゃん知らないもん。」
「いいけどさあ…今年上げなかったらもっと大変な事になるんじゃない?」
想像して寒気がしてきたかも、意外といろんな事双葉覚えてて根にもつからな…。チョコレート程度で何とかなるなら買っておこうかな…でも。
「ここで買うの?」
周りは女の子ばっかり、男2人の自分達はさっきから異様に目立ってるしここで買うのはちょっと所でなくいやかも…。
桔梗に嫌そうな視線を向ける。
「それは俺も思った…卓也に挙げたいけど…。」
さすがに桔梗も自分達の存在が目立っている事に気がついた。