投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
コミックスバージョン。アウ様が去る前夜の話…。
「なっ、なにしやがんだ!!」
「治療だよ。さっきと同じだ。君の霊力はひどく落ちている。私の口から霊力を直接吹き込むことで回復が早くなる」
「も、もう治った!」
ティアはアシュレイをぎゅっと抱きしめ、おでこをぶつける。
「!」
赤くなって動けなくなるアシュレイ。
「ほら、熱も高いし、顔も赤い。体も震えてるじゃないか。ちっとも治ってないよ。ちゃんと治療を受けて!」
「~~~~~~~~」
言葉の出ないアシュレイにさっさと「治療」を施すティア。
何度目かの治療を、恥じらいながらもいやがらずに受けたアシュレイは、ふと、下を向いてぼそっと話し始めた。
「あの..さ..」
「何?」
「その…昔..おまえさ….」
「昔?」
「…俺が昼寝してたら、同じことしただろ…。あれって…」
「昼に眠くなるってことは、霊力がそれだけ落ちてるってことでしょ。疲れてるみたいだったから、つい「治療」しちゃった。勝手にごめんね?」
「..そっ…か…」
治療だったのかと、明らかに気落ちした感じの風情のアシュレイにティアは密かに舞い上がっていた。
「気付いてたんだ」
「武将だぞ!体に触れられたら寝てても気付くだろ!」
「でも、そのまま受け入れてくれた」
「!」
再び真っ赤になって蒸気を出さんばかりのアシュレイ。
「ね、寝てたから!害がなければ起きないんだ!あ、あれだ。寝てるときにリスとかが体の上を走ったりするのと同じ?」
焦る余り、だんだん訳のわからないことを言い始める。
「じゃあ、害がないから、これからも寝てるときに触れて良いのだね♪私のことはリスだと思って♪」
「!!!」
とんでもないせりふに、反応ができず固まってしまったアシュレイだが、逆に不信感を覚える。
ちょっと待てよ、なんか話がおかしいぞ。大体、2回に1回は触れるだけで、霊力なんか吹き込まれてなかったような..。
見るからに頭の中がぐるぐるしてパニック状態のアシュレイに、思わず抱きついてしまうティア。
「可愛い!!」
その瞬間、アシュレイの平手が炸裂。
「テメェ!治療なんて嘘だな!」
「あはは…」
やっぱり嘘だったんだ!怒りと、何度も受け入れてしまった恥ずかしさと、ちょっぴり治療なんかじゃなかったんだという嬉しさが入り混じり、いたたまれず飛び去っていくアシュレイを、ティアは頬をなでながら見送った。
愛しい人に叩かれたこの痛み、手光をあてずこころゆくまで楽しもうと、変態への道を歩みだしているティアであった。
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