続・曼珠沙華〜五章〜
「―――――」
「・・・・・」
柢王は部屋に入るなり絶句した。
そこにカルミアの誘いを振り切り早々と戻ったティアも部屋に入り棒立ちとなった。
アシュレイと桂花が手をつないで一緒に寝ているのだから・・・。
それも寝台で!!
「ピイ」
「――冰玉?」
冰玉の声で柢王は我にかえる。
「おまえ、もしかして使いできたのか?」
冰玉を呼び語りかける。
桂花より数段腕は落ちるが、花街で柢王が信頼する薬師に魔界曼珠沙華の粉を持たせ至急解毒剤と依頼していたのを思い出す。
柢王から少し遅れるものの我に返ったティアがやっとのことで口を開く。
「あー、柢王。おまえに説明しなきゃいけないことがあるんだ」
「そりゃ・・・。ありそうだな」
ぐっすり眠りこんでいる二人を見つめて柢王がボソリと返す。
「その前にこの二人離しとかない?」
「そうだな」
目覚めたときのスプラッタ防止かそれともただの焼きもちなのか・・・。
一刻後、目覚めた二人はすっかり元に戻っていた。
花街の薬師は見事に仕事を成し遂げたようだ。
ただアシュレイは天主塔に来た記憶がスポーンと抜け落ち、桂花にしては今回の事件全ての記憶がなくなっていた。
ティアと柢王に新たな秘密ができた。
そして今回の事件を思い返しては犬猿の二人を早々に引き離した自分達の英知と手腕を讃えあっていた。