アシュレイ・ロー・ラ・ダイ
「まてよ! 今度は俺が尋ねる番だ。どうしてそんなことを聞く! アシュレイ!?」
肩を捕まれたアシュレイは今度は何も言わず柢王を押しのけると窓の外に、掻き消えた。
呆然と、取り残された柢王はもはや、誰もいない空に向かって問いかけた。
「何なんだ一体、お前どうしちまったんだよ、アシュレイ・・・」
あんな、アシュレイは知らない。あいつは、いつも信じられない位単純な奴で・・・。
それがさっきのアシュレイはどうだ、感情の欠片も、うごく気配が感じられなかった。
・・・あそこまで感情を押し殺せる者など、軍の中でもみたことがない、・・・ハッ! まさか!! 軍がらみか!? ・・・こいつぁやばいな、しかし、ティアは知っているのか?
あれやこれやと一人で悩んだところで、その答えが導ける訳もないので柢王はとりあえず天守塔にいって他の自分より考えるのがすきな連中にこの問題を押し付けることにした。
これが、この日の柢王の行動で一番懸命な判断だったといえるだろう。そう、自分にできないことは、できる奴に押し付けてやればいいのだ。