生
音もなく忍び寄る闇
モノクロの世界に引きずり込まれる街
遠ざかるノイズ
…押し寄せる記憶
カウンターの片隅
愛しい彼(ヒト)
「眠っているよ、マスターなら」
だけど
その身体は冷たく
その瞳は一樹の姿さえ見ることを拒んでるかのように硬く閉ざされたまま
「城堂さん…貴方は俺に生きろと云ったけど」
ふっと、呼吸がラクになる
スポットライトを浴びたように色づく街
煩いほどのノイズが耳に心地よい
「大丈夫、貴方の言いつけは守ってます。ちゃんとね」
大切な家族、仲間
…新しい恋人
そしてその中にいる自分自身
どれもすべて大切だから
「貴方のもとには行きませんよ、城堂さん。そこから俺たちを見て呆れててくださいね」