誕生日プレゼント
「ただいま」、の声とともにドアを開け家の中に入ると、桂花は居間の長椅子でうたた寝をしていた。テーブルの上には料理が並べられている。食べずに自分を待ってくれていたのだろう、そんな桂花に対して後ろめたい気持ちになってそばにより、その顔に触れてみる、以前はこんなことをすればすぐに飛び起きたのに、今は起きる気配もない自分に心を許していてくれているからだろうか?
この家を建てるといった時、ティアは天主塔に住めば良いといってくれた、桂花は古い城のままで良いと言っていた。確かに天主塔は桂花にとってこの天界で一番安全な所だろう、だが心の休まる所ではない、桂花は何も言わないが、天界人の視線に曝され続けることがどんなに負担になっているか、だから、めったに人の訪れることのないこの場所に新しい家を建てて結界を張った。せめてこの家の中だけでも誰の視線も気にせずいられるように。
「柢王」
「なんだ起きたのか」
「起きたのかじゃありません、眠っている人に対してこういう悪戯をするんですか、あなたという人は」
と言うと俺の手をつまみ上げた。
「だって、お前の寝顔があまりにも色っぽかったから、つい・・・」
「花街のお姐さんたちと遊んで来たんじゃないんですか。」
「お姐さんたちは遊び、お前とは違うだろう。しかし、今日の夕飯はずいぶん豪華だな」
といいいながらテーブルに目をやる。
「一国の王子が、あれくらいを豪華と言ってどうするんですか、それに今日はあなたの誕生日じゃないですか」
そう言われはじめて自分の誕生日を思い出した。桂花は二人でお祝いをしようと待ってくれていたのだ。
「じゃあ、誕生日のプレゼントをもらおうかな」
そういうと、そのまま桂花を抱き上げ寝台に移動する。