決意
暗くなってきた外、カーテンを閉めようと窓に歩み寄る。
部屋の灯りでガラスに映ってる俺の顔…
「雨なんだ…ちっとも気づかなかった。」
ガラスを伝わる雫が俺の涙みたいでイヤだな…
『逢いたい』の一言が云えない。
自分中心の生活をしてほしいわけじゃないけど…
二葉を一人占めにしたいわけじゃないけど…
ぎりぎりまで物分りのいい優等生を演じてしまう俺のこと、二葉はどう思ってるんだろう。
俺はそのままガラスに映る自分を見ていた。
ふと鳴った携帯…二葉だ…
『泣いてるのか?』
二葉の優しい声が携帯から聞こえてくる。俺は窓の外に目を凝らし愛しい彼を探した。そして見つけた。闇の中に浮んだブロンドの髪の彼を…
「…どうして…」
『俺ら恋人同士だろ、おまえの気持ちわからなくてどーするよ。」
「…二葉」
ガラス越しの会話、ガラス越しの姿…
それだけなのに俺の心が暖かさに包まれる。まるで二葉の腕の中にいるような錯覚に陥る。
『おまえのこと抱きしめたいけどよ、もう時間ないんだ…』
「大丈夫だよ、二葉…」
心のなかでもう一度呟く、本当に大丈夫なんだ。
『そうだな、おまえ最近態度にだしてくれるようになったから、俺嬉し いんだぜ。次はおまえから電話しろよな、泣くだけでもいいから…』
二葉の言葉が嬉しかった。電話は切れたけど、いつまでも彼の言葉に頷いてた。
窓の外、二葉が手を上げてバイクを走らせた。雨なのに…
『愛しているから…』
電話が切れる寸前、伝えられた言葉。
「愛している…」
同じ思いで答えたい。
その気持ちが俺を少しづつ変えてるのかもしれない…
次は俺から電話するんだ。
『二葉…逢いたい』って…