投稿(妄想)小説の部屋

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No.370 (2001/09/16 23:18) 投稿者:Shoko

八紫仙(4)の一人上手な一日

 わたくしは八紫仙(4)。
 少しワンレン入った髪型をしております中堅どころでございます。

 わたくしのとある1日を御紹介致しましょう。
 まず、朝目覚めると天井に貼られた守天様の超特大ポスターが目に入ります。
 そのお顔を10分程、いえもうすこし長いでしょうか、20分程、いえ…もう少し……
 と、とにかくあの麗しい御尊顔をギリギリの時間までそれこそ穴が開く程にじーーっと…。
 ええ、あのお顔から目が離せる人などおりましょうか。いや、おりますまい。(断言)

 やっと自分にふんぎりをつけて寝台から起き上がり、夜着を脱いでとりあえず、普段着に着替えるのでございますが部屋を出て朝食を頂く前にわたくしには大切な儀式があるのでございます。

 ……そう、敬愛する守天様のお写真、ポスターに朝のご挨拶をっっ!!!!

 おはようございます、守天様。
 本日もご機嫌麗しく……。
 本当ならご本人様に申し上げたいところですが、なにぶんわたくしは八紫仙(4)……。
 守天様はすこぶる鬱陶しくお感じになっている御様子で……(号泣)
 ポスターやお写真の守天様は使い女達が盗み撮りをしたものを没収したりしたものでございますから、それはそれは柔らかく微笑んでおられるのです。
 ………わたくし達八紫仙の前では決してお見せにならないような、とびきりの笑顔でございます。

 け、けれどっっ!!!!
 守天様のお側近くにお仕えできるのでしたら、多少嫌われることなど……(くっ/泣)
 一通りのお写真、ポスターに朝のご挨拶を済ませたら、まず身だしなみを整えます。
 守天様の前に出る訳ですから、口臭、腋臭など気をつけねばなりません。
 それに髪!!
 わたくし、普段からは想像がつかないほどのくせ毛でございまして、髪を整えるのはある種の戦い、と申しても過言ではございません。
 毎朝四苦八苦しながら、あっちにはね、こっちにはねしている髪をなんとか流れるような内巻きに整えるのでございます。
 1時間ほど歯磨きを致しまして、朝風呂で身体を丹念に洗い、1時間ほどの奮闘の末、髪を整え、
 やっと紫の衣に袖を通す次第でございます。

 そして朝食を軽く頂き、うきうき気分を抑えつつ、天主塔でのお仕事になるのでございます。
 いろいろな雑務もございますが、一番気を引き締めていかねばならない場所は守天様の執務室でございます。
 そこには執務中の守天様がおいでになり、一心不乱に決裁をしておられます。
 そのお顔の凛々しいこと。
 まったく幼い頃も御聡明でいらっしゃいましたがよくここまで大きくお成りになられ………(感涙)
 ………いえいえ。
 そのお話ではございませんでした。

 忙しいわたくしたちにはお昼をゆっくりと頂いている間があまりございません。
 ですが、本日はお昼を抜いても価値のある一時を過ごさせて頂きました。
 守天様のお供をして執務室から蔵書室へと向かう途中で守天様が足を止められたのでございます。
 その時、守天様はわたくしをごらんになり、あのお写真やポスターと同じ顔でわたくしに向かって微笑まれたのでございます!!
 心の平静を装いつつ、
「ど、ど、ど、どうなさったのですか?」
 とお聞きしたとたんその笑顔は「なんでもない」と一瞬で消えてしまいましたがあのお顔は一生わたくしの心に刻まれていることでしょう。

(独白の途中ですがその模様を見ておられた使い女(1)さんにお話をお聞きしました)
「えぇ、確かにあのとき守天様は微笑まれましたけれど……。八紫仙(4)様に微笑まれたのではありませんわ。窓の外にいらしたアシュレイ様をご覧になったのです。あの時アシュレイ様はそれは楽しそうに兵たちに稽古をおつけになっていて……(笑)」
                            ―――使い女(1)さん談

 いいえっ、あれは誰がなんと申されようとわたくしに向かって微笑まれたのでございますっっっ!!!
 あの笑顔を拝することができ、わたくしは心に誓いました(ぐっ/握りこぶしっ!!)
 いつか、いつか守天様のためにお役に立って差し上げようとっ!!!!
(八紫仙(1)〜(8)を見事押さえ付け、わたくし一人でも守天様のお味方に、とっ!!!!)

 一番辛いことは仕事を終えることでございます。(泣)
 そのあとは守天様のプライベートなお時間でございますから、
 アシュレイ様となにやら仲よさげになさっているとかアシュレイ様がお泊まりになったとか小耳にはさんでもわたくしの口の挟める筋合いではございません。
 ですが、それが守天様の幸せに繋がるのでしたら……っっ。
 わたくしは心からの祝福をっっ!!!

 わたくしは一人部屋へと戻り、守天様のポスター・写真に夜のご挨拶をいたします。
 あぁ、本日は大変幸せでございました。
 あの守天様がわたくしに、微笑みかけて下さったなんてっっ!!!
 そしてそれが一通り終わりますと、紫の衣を脱ぎ、眠りにつくのでございます。
 また、明日、守天様のお側で働けることを幸せに思いつつ………。

 いかがでございましょう。これがわたくしの(特別なこともありましたが)1日でございます。


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