生…
お互いの身体を通し打ちつけるように響く音
「生きている証だ。」
力強い声に俺は頷いた…
だけど。
俺の心を捕らえたまま放さないあの人
『愛している』最期までその言葉は声にしてもらえなかった……
その一つの言葉に俺は、まだ拘っている。
その一つの言葉を俺は、まだ欲している。
魂となってしまったあの人からは何ももらえないというのに……
息苦しさの中、ふと頬に感じた温もり
「酷くうなされていた。」
「…慧…嫻…」
「俺ではだめなのか…お前を愛している。どうすれば信じてもらえる? どうすれば伝わるんだ…」
生者の元への一歩が踏み出せず、すくむ俺の心が静かに語るその声に弾かれたように歩を進めはじめた。
涙の雫に視界が霞んでも、俺はただひたすら生者の元へ歩を進める…