箱入りシンデレラ!?
「慎吾君、起きて、朝食が出来たよ」
ここは、とある王国の城下町(?)にある豪邸。
優しい声で起こされた慎吾という可愛らしい少年は、今日という日を待ちわびていた。今日は、慎吾が産れて初めてこの豪邸の敷地の外に出ることを許された日だ。
慎吾は、この豪邸に家庭療養中の父と、過保護過ぎる兄、貴奨とさっきの優しい声の持ち主、高槻光輝と暮らしている。
この芹沢家の過保護過ぎる兄の「慎吾に変な虫が付いては困る」という意見から、慎吾は、この敷地内から一歩も出ること無く育った。そして、今日、やっと貴奨が社会勉強の為にと許しを出したのだ。勿論、一人で行かせる訳ではない。慎吾を悪い虫から守るナイト役が必要だ。その役をかってでたのが、高槻である。
慎吾が、身仕度を整えダイニングに行くと、他の3人は、すでに食事を始めていた。
「慎吾、間違っても高槻から離れるなよ。あと、変な奴が声をかけて来ても、話したりするんじゃないぞ」
貴奨は、三日前から何度言ったかわからない言葉を、慎吾に熱心に伝える。
「貴奨、慎吾も、もう子供じゃないんだし・・・それに、高槻君も付いて行ってくれるんだから」
「そうだよ芹沢。それとも、私じゃ役不足かい?」
貴奨は父と高槻に宥められ、ようやく黙って食事を始めた。
「それじゃ、行ってきま〜す」
まだ何か言いたそうな貴奨と、笑顔の父に見送られ、慎吾と高槻は家を出た。
慎吾は初めて見る町に感動しまくりである。
「高槻さん! 本がいっぱい置いてあるよ、貴奨の部屋みたい! あそこは、人かいっぱいご飯食べてる! なーに? あの人たちが持ってる金色の丸いの」
高槻は、慎吾がまだコインを知らない事に気付いた。
「慎吾君、アイスが食べたくないかい?」
「食べたい!!」
「じゃあ、これを持って行って、好きなアイスと交換してもらいなさい」
「交換? 解った! これ、貴奨が言ってたコインでしょ!? これを食べ物とか服と交換するんだよね? 買うって言うんだって!」
慎吾は賢い子だと解っていた高槻も、貴奨が前に少し話しただけの事をよく聞き漏らさなかったなと関心した。それと同時に慎吾は、過保護な兄のせいで、18にもなるというのに世間知らずなな子に育ってしまったと心配な面もあった。
「高槻さん、あの大きい建物は何? すごく奇麗」
「あぁ、あれはお城だよ。この国の一番偉い人が住んでいるんだよ」
慎吾たちがお城の近くまで来たちょうどその頃。
「健、そろそろ結婚してもいい歳なんじゃないか」
お城の中では、大臣の江端が、国王である健に助言? している。
「そうだな〜、わかった。ここは一つ盛大に・・・よし、江端、この町の18〜23才の国民を全員集めろ!」
「それはいいが、何で18〜23なんだ?」
「俺のストライクゾーンだ」
「はー・・・それで、日時は?」
江端は、祭り好きの健が考えそうな事だと思いながらも話を進めた。話している間にも、江端は、部下に該当する者のリストを調べさせている。何とも優秀な大臣だ。
健は、そんな江端を見てニヤリと笑った。江端は嫌な予感がしながらも主人の応えを待った。
「明日だ」
「!!!!!?」
つづく