投稿(妄想)小説の部屋

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No.298 (2001/07/09 13:45) 投稿者:桜草

存在

 吾にあなたが教えてくれたこと
 愛には、癒されることのない心の痛みを伴うということ…

「…柢王…」

 安らかな寝息に心癒される。
 と同時に…
 このまま目を覚まさなかったら!?
 たとえようのない不安が吾を包む
 何故そのようなことを考えてしまうのか自分にもわからない。

 そっと、頬に手をおく
「…あたたかい」
 毎夜繰り返し確認してしまう…そして吾はまた眠りにつく。

「桂花、何をそんなに心配してるんだか…」

 俺は桂花がしたのと同じように頬に手をおく
 体温のない頬は冷たい…
 いや、体全体が冷たい。

「俺のぬくもりを覚えてしまったからか…ん…」

 身じろぎひとつせず隣で眠る恋人
 愛には…
 不安も痛みも存在しない
 お互いの存在で癒しあうことなのだと伝えられないのだろうか。


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