存在
吾にあなたが教えてくれたこと
愛には、癒されることのない心の痛みを伴うということ…
「…柢王…」
安らかな寝息に心癒される。
と同時に…
このまま目を覚まさなかったら!?
たとえようのない不安が吾を包む
何故そのようなことを考えてしまうのか自分にもわからない。
そっと、頬に手をおく
「…あたたかい」
毎夜繰り返し確認してしまう…そして吾はまた眠りにつく。
「桂花、何をそんなに心配してるんだか…」
俺は桂花がしたのと同じように頬に手をおく
体温のない頬は冷たい…
いや、体全体が冷たい。
「俺のぬくもりを覚えてしまったからか…ん…」
身じろぎひとつせず隣で眠る恋人
愛には…
不安も痛みも存在しない
お互いの存在で癒しあうことなのだと伝えられないのだろうか。