続・夜
もう、許して・・・と悲鳴のようにあがった最後の声が、まだ鷲尾の耳に残っている。
恥じらいながらも鷲尾の腕の中で素直に感じて見せた絹一は、今は深い眠りの中にいる。
そっと弱い場所をなで上げてみても、絹一の瞳は瞼の奥に閉ざされたままだ。
少し強引だったか・・・と内心苦笑しながらも、鷲尾の絹一を見つめる瞳はまだどこか、情熱的だ。
本当の事を言えば・・・まだ絹一が欲しかった。
全身で自分を感じている様を見つめていると、底のない沼におぼれていく様な錯覚すら覚えるのだ。
すっかり捕まっているな・・・と自嘲しながら絹一のこめかみに唇で触れる。
そのまま首筋、鎖骨へと滑らせながら無言で絹一の身体に訴えてみる。
眠れないのはお前のせいだ、と。
俺だけ置いていくな・・・と。
普段なら、絶対そんな事は言わないけれど。
「・・・・ん・・・」
そんな鷲尾の囁きが届いたのか、絹一が身じろいだ。
腕の内側に唇を這わせていた鷲尾の頭を抱き込むように、絹一の腕が首に回される。
Body Talkを邪魔されて、鷲尾の口から苦笑が漏れた。
「わかった。・・・おやすみ」
もう邪魔はしないから、と細い身体に腕を回して目を閉じる。
夜明けまでまだもう少し時間がある。
自分で自分を焦らすのもいいか・・・と悪戯に思えるような夜だった。