投稿(妄想)小説の部屋

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No.250 (2001/05/26 03:34) 投稿者:在り処

痛くて眠れない夜

 ギルは優しい、仕事外の付き合いを深めたならば 幸せになた、・・・かもしれない。
 仕事以外での出逢いだったならば もっと頼って、もっとお互いを曝け出してもっと抱き合って、求めて・・・・・・きっと幸せ、永く続くと思わせてくれるような・・・

 鷲尾さんは優しい、最初の出逢いのときから その優しさは心地良かった。甘えられた。
 言葉で多くを告げなくとも、抱えている痛みを見つけて 気づいてくれて 癒してくれる。
 その大きな包容力に甘えて、その寛大なところに 同じ人間としての憧れを抱いて・・・・・・

「いつだって 優しさに包まれてばかり、だった・・・」

 酷く痛む頭を抱え、眠れそうにない身体をソファーに投げ込んだ。
 ここは 日本から遠く離れた国、今ごろ 日本では 翌日の昼過ぎ・・・あたり。
 体感している時差が 自分の「今」と皮肉にもぴったりなような気がしてつい口元から 苦笑いが生まれてくる。
「・・・僕だけ遅れているんだ」

 年齢の差、経験の差・・・そんな言葉だけでは 何も片付けられない気がした。
「自分の同じ年齢のときの」ギル、「自分と同じ年齢のときの」鷲尾さん・・・
 それらと 今の自分を比べても、絶対に かなわないことは 目に見えている。

 彼らは今、日本で 半日先、僕は今、この国で 半日遅れ

 先ほど飲んだ頭痛薬は まだ効いていない
 ・・・今夜は このまま頭痛に悩まされそうな 予感がした。


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