スキナキモチ
その夜、寝苦しくて俺は目が覚めたんだ。
何度も眠ろうって思うんだけど、眠れない。
寝返りをうつと、すぐ目の前に二葉の顔がある。
・・・やっぱり睫毛長い・・・
俺の体に廻されてる二葉の腕をそっと外し、起き上がった。
しばらく二葉の顔を見てても、目を覚ます気配がない。
疲れてるんだな。久しぶりにモデルのバイトもなくって、
俺も塾を休んでしまって、しかも泊まりにきちゃってる。
でも二葉の顔を見るのはほんと久しぶりだったし、
そうなると、やっぱり離れたくないって思ったから
急に小沼の所に泊まるって連絡を家に入れたんだ。
ベッドに俺の大好きな金色の髪が広がっていて、
その髪に俺は手をもぐり込ませた。
髪を少し動かすと、空気が動く。
その空気に乗って二葉のフレグランスが微かに香ってきた。
ねぇ、二葉。
俺のこと大好きだって何度も何度も言ってくれたよね。
愛してるって言ってくれた。
ありがとう、嬉しいんだ。すごくすごく嬉しいんだ。
ほんとだよ?
でも、俺はちゃんと二葉に言えてるかな?
大好きだって。俺だって愛してるって。
お前が俺にくれるほど、伝わってないような気がする。
大好きだ、二葉、大好きだよ。
「バーカ、わかってるよ。お前が俺のこと好きなの」
目を瞑ったまま二葉が突然言った。
「ふ、二葉っ?」
ゆっくりと目を開き、俺の視線と合わせてくる。
「ちゃんと伝わってるよ、夜中につまんねーこと考えてないで寝ろ!」
俺の腕を引っ張り、腕の中に引きずり込む。
頭を抱えながら、俺の心の中を読むみたいに言ったんだ。
「俺は忍に関しては超能力があんの。お前の考えてることなんてお見通しだからな」
って。
でも、今夜はちゃんと言うよ。大好きだって。