投稿(妄想)小説の部屋

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No.46 (2000/06/14 04:27) 投稿者:ZAKKO

連鎖反応 −・+(後編)

 しばらくそうしてた俺は、前に人の立つ気配を感じて顔を上げ…目を見張った。
「二葉……っ?!」
「んだよ…、やっぱり忍じゃんか…!」
 頬を上気させ荒い息で呟く二葉は、よほど急いで来たのか額に汗を光らせて、髪も乱れまくっていた。
「どうして……」
 呆然とする俺に向かって、二葉は片目をつぶって見せる。
「電車が動きだした後、何気な〜く窓の外見てたら、ホームに立ってるおまえが目に入ったんだよ」
「そんな…あんな、すれ違う一瞬で? 二葉、目良すぎだよっ…それに、わざわざ引き返して来たって、俺もう居なかったかもしれないのに…っ!」
「だから、次の駅で飛び降りて、ホームからホームへ全力疾走して来たんじゃねぇか。マジで死にそうだぜ…おまえの事だけは見逃さないんだなー、俺は。愛の力ってヤツ?」
 そう言って笑う二葉に、俺は今度こそ涙が浮かんでくるのを止められなかった。
「なっ…!何で泣くんだよおまえっ?!」
「ごめ…だって…」
 はじめはオロオロしてた二葉は、苦笑すると、涙をこぼす俺の方へ身を屈め…優しい声で囁いた。
「そんな可愛い顔して泣くんじゃねぇよ…ヤバいだろ、俺が? …泣きやまねぇと、抱き締めてキスするぞ?」
「バッカ、ここ、駅のホームじゃないか!」
 思わず泣き笑いになった俺の隣に、二葉が腰を下ろす。
「……で。どうした?」
 決して押し付けがましくなく聞いてくる二葉に、俺は今日あった事を話した。
「でも、よかった…二葉に会えて。こういうの『終りよければすべてよし』って言うんだよね」
「何、馬鹿な事言ってんだおまえ」
 その返事に慌てて横を向くと、ニヤリ、と悪戯っぽく笑う二葉と目が合った。
「せっかく会えたのに、誰がこんなとこで『終り』にするかっての! 飯食って、ゲーセンでもひやかして、『ロー・パー』行こうぜっ。っと、その前におまえの制服何とかしねーとな…それとも、そんなに遅くなんの、マズイか…?」 俺はあったかいもので胸が一杯になるのを感じながら、二葉の肩に自分の額を押し付けた。

 次の日の夜。俺は二葉からの電話に、また泣かされそうになった…。
『おまえが独りぼっちで俯いて立ってるの見た時、心臓痛くなったからな、俺! 居合わせなかった時の事考えるとおっかねーったらないぜ……今度から、一人であんな顔する前に、俺のケータイ鳴らせ。絶対だぞっ?!』
 受話器の向こう側から聞こえる声に、俺は返事も出来ずにただ頷くだけだった。

 ……そんなおまえだから、俺は……。

 好き。大好き。愛してる。
 二葉への、俺の気持ち…これも、連鎖反応なのかな…?
 いや、多分違うな。『大好き』と『愛してる』はループしてるから。これはきっと……永久運動。

                            ( 完 )

※本文中に『キス』という単語を使ってますが、実際にしてる訳じゃナイので送ってしまいます〜☆


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