愛の心理学チェック
「なあ、忍？」
二葉は手に持っていた愛の心理学チェックなんて可愛らしい本をパタリと閉じると、忍を見つめ呼びかけた。
「なに？」
問題集から目を離さないながらもすぐに返事が返ってくる。
「・・・あのさ、」
「なに？」
いつもストレートな二葉にしてはめずらしいな、なんて思いながら顔を上げると、視線があった。
なにやら、真剣である。
「俺と桔梗が崖っぷちでぶらさがっています。助けを求めています。さあ、あなたなら、どっちを先に助ける？」
「・・・・・なにそれ？」
「いいから、でっ、どっちを助ける？」
「桔梗」
「ええええっ！！なんで！なんでっ、桔梗！なんで俺を助けない！！」
「えっ？だって、二葉だったら自分で上がってこれるし、桔梗は無理そうだから・・・」
なぜか真剣な二葉に、ついつい怖じ気づいてしまう忍。
「なになに？どうしたの？」
グラスを持った桔梗が扉を開けて入ってきた。
「んっ、二葉がね、・・・」
説明しようとする忍をさえぎりながら、
「じゃあさっ、一樹と俺だったらどうよっ？」
「一樹さん」
「・・・・・・・・（があああっん。しかも、即答）」
「・・一樹さんだったら、きっと自分から手を離しちゃいそうで怖いし・・・」
「何言ってんの、忍？」
不思議そうな桔梗。
「なんか、二葉、変なんだ」
「・・・・・いいさっ。どーせ俺なんて・・・」
「何、すねてんのさー」
「・・・いいんだ別に」
「もおっー、なんなんだよっー」
怒る桔梗とすねる二葉を前にして、いったいなにがいけなかったのか思案する忍であった。