moon & cigarette
「あれっ? 慎吾くん、何でここに?」
「!!!!!」
ここは江端さんと健さんの部屋・・・なのになぜ一樹さんがここに!!
・・・と、叫びたかった慎吾だが、一樹の手に口をふさがれる。
「んー何で俺がここにいるかって?そりゃあ、秘密ってことで」
口元に笑みを浮かべながら、そっと慎吾の無言の問いに答えてやる。「ちょっとだけ黙っておきなね」とウインクして慎吾をはなすと。
玄関を入って、リビングの手前のドアの前。
ちょうど窓際の健と江端に気づかれないよう死角になった場所。
(そして気配も気づかれないよう主天様にお願い/笑)
一樹の影から慎吾がそっと顔を覗かせる。
窓から差し込むのは月明かりだ。
健は窓のはしに体を寄りかからせて立っている。
ぼんやりと煙草をくわえ、窓の外を見ているようだ。
江端はそのそばの椅子に、やはり煙草片手にすわっていた。
2人の表情は月明かりのせいで影になり、よくわからない。
辺りには煙が燻っている。
無言の空間は冷たくは ない。
「・・・慎吾君、なんだかそそられない?」
「そ・・・そそるって何がですかっ!」
慎吾の顔はわずかにあかく染まっている。
───健さんが・・・綺麗で。
その前に、慎吾はあの2人がつくる空気が好きだった。
微妙な空間、ほかの人間はそれを邪魔できない。
たとえ、その空間が2人にとって何でもない空間でも。
こういう2人を見るのは嫌いじゃない。
嫌いじゃ───ないが、健が見せないから。
だから普段見れないぶん、これは特別で。
なぜか突然登場の一樹に(笑)ひたすら感謝な慎吾だった。
そのあと、そっと2人が部屋を出たのは言うまでもない。
(見つからないようにしてくれた(かもしれない)主天様、ありがとう!)
・・・・慎吾はあとで一樹に何かねだられたかもしれないが☆