おとうと
疲れて寝てしまった慎吾の髪を、いつのまにか梳いている自分に気づき、貴奨は苦笑した。
いつのまに、こんなに・・・。
血の繋がらない弟が、こんなにも自分のなかに入り込んでしまうなんて、思ってもみなかった。
かわいくてしかたがない。
つい先ほどまで、見ていたビデオのことで意見を交わしていたはずなのに、よほど疲れていたのだろう。
いつも抱き上げるたび胸が疼く。
寝室のドアをあけ、ゆっくりとベッドへと慎吾をおろす。
明かりを消す前に、もう一度愛しい’おとうと’の顔をゆっくりとその長い指で辿ると、ため息をひとつつき、貴奨は部屋を出ていった。
今夜も、長い夜になりそうだった・・・。