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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.4.html (2006/09/05 13:38) title:色…サクラ (時期はずれでゴメンナサイ)
Name:桜草 (softbank219186026005.bbtec.net)

「綺麗だ…」

同性を好きな自分を認めるのが怖い。
それでも、鷲尾という男の存在を消す事ができない。
絹一は、そんな自分自身を持て余している。

「夜の桜もいいけど…」

灰色の空と淡いピンク色の桜の組み合わせ。
中途半端な色の組み合わせ。
今の絹一にはぴったりの色かもしれない。

「やっと咲いたか…」
「ぇ…」

声のするほうに振り返ると、絹一の真後ろに鷲尾が立っている。
気配など何も感じなかった。
それほど、桜に気をとられていた記憶はないのに…。

「曇り空の中の桜もいいもんだな。だが…」

鷲尾は素早く絹一の身体を自身のコートの中に包みこんだ。

「こんなに冷え切って…ったく、呆れて言葉も出ないな」
「…なら、放っておいてくれればいいんだ」

絹一は搾り出すような声を鷲尾にぶつけ、彼のコートの中から逃げ出そうとした。

「何故逃げようとするんだ?」
「何故って…こんなの間違ってる」
「間違い?」
「同性同士の恋愛なんて、こんなの…」
「…確かにな」

鷲尾はすんなりその言葉に同意した。
絹一は、その鷲尾の言葉に動揺を隠せずにいる。
自分から言い出した言葉なのに、鷲尾にその言葉を否定して欲しいと思ってる。
そんなの虫がよすぎる…わかってはいても落胆の色が隠せない。

「否定してほしいんだろう?」

鷲尾は、絹一の本心を見抜いたようかのような言葉を浴びせた。
いや。
実際は、鷲尾自身が絹一から否定の言葉が欲しかったのかもしれない。
今更、絹一を手放すことができるのか?
絹一を…。
自問自答しながら発した言葉に、余裕など全くなかったのだから。

鷲尾は沸きあがる感情を押さえられず、絹一の唇に自分の唇を重ねた。

肩にかけていただけのコートが落ちる。

灰色だった空は所々黒い色に変わっていた。
恋愛の相手が異性でなければいけないことはない。
ただ。
青い空の下よりも、灰色や黒に近い色の空の下が似合ってる…そんな気がしたのは、絹一だけではないのかもしれない。


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