投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
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critiquer peu de gingembre Lou: Je ne sais pas que vous 辿tiez morts fant担me!
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仕立て屋が感涙にむせんでいる。
「桂花様、そのお姿で是非当店にお運びいただけませんか? うちの職人達にも見せてやりとうございます。これほどに美しく清冽でもありながら艶めかしく着こなして下さるとは、わたくしども仕立て屋冥利に・・・」
感極まって袖を目に当てて泣きだした仕立て屋に、桂花は無表情の裏で特大級の溜息をついた。
「お断りさせていただきます」
「ではせめてそのお姿を絵師に描かせていただけませんか?」
「それもお断りします」
そんな殺生な、と顔を覆って泣いている仕立て屋の横で、使い女達が声を上げた。
「桂花様、とっても素敵ですわ。姿絵を是非描かせてくださいな」
「ええ、本当にお似合いですもの! そのお姿を残さないなんて、勿体なさすぎます!」
熱心というよりは鼻息が荒いと形容すべき勢いであった。
「若様、若様からも仰せになってくださいまし」
「ああ、うん・・・似合ってるよ、桂花」
「ありがとうございます」
「でもちょっと、似合いすぎてる・・・かな」
ティアが心なし青ざめた顔で呟いた。
布をたっぷりと使いドレープを取った一着は、人間界でちょっと前に栄えた『ローマ帝国』の風俗を思わせる形。ティアの指示通り、袖は手首以外縫い合わせていないものだから、腕が剥き出しになっている。
袖と背中に黒の透ける布を使ったものは、桂花の刺青を蔦に見立て、金銀の花吹雪の中で蝶が羽を休めている意匠にした。髪を下ろしていると背中の刺繍が見えなくなるのがまた、もどかしさを煽って心憎い。
最後の一着は、固めの布で襟が高く袖も長く、装飾もないため、一見するとひどくそっけない。だが、前合わせの服は、その合わせが指の関節一つ分ほど、離れている。両の襟を止める金具もその幅を詰めることはせず、低めのベルトまで等間隔で並ぶ金具も同様。
喉元からへそまでの僅かな幅の素肌を走る視線を、その止め具以外に邪魔するものはない。
桂花の冷たい鋭さと、品のあるしなやかさ。その硬い殻に潜む凄艶。
「私ってセンス良すぎるかも・・・」
美人秘書で着せ替えを楽しんでストレスが解消できたティアは、ようやく正気に戻った。
(ちょっとまずい・・・?)
いくら似合っていても――否、似合っているからこそ。こんな服を恋人以外が恋人以外に贈ったのがばれたら。
(ものすごく、まずい・・・)
ティアは色を失った。
その彼の耳元に桂花が唇を寄せる。
「あの、守天殿。この服のことは柢王には・・・」
「言わない。絶対言わない。言えるわけない」
デザイナー兼贈り主とは思えないことをティアは言った。
「みんな、桂花のこの服のことは、口外しないでくれるかな」
「えっ?」
「何故ですか? 桂花様のこのお姿を見れば、同好会の人数も絶対に増えますよ!」
「同好会?」
「いえ、何でも」
「――とにかく、このことは口外無用。ご亭主もいいですね? でないと、この芸術作品が燃やされてしまうかもしれません」
「まあ・・・それはあの、アシュレイ様が?」
「そう言えばそうですわ・・・。あの方、桂花様のことがお気に召さないようですもの・・・」
「そうでなくても、これまでアシュレイ様に壊されたものは十やそこらでは効きませんもの。怒りっぽい、いえ、感情豊かでらっしゃるし、粗野・・・じゃない、お元気な方ですものね。何かの弾みで、ということも充分考えられますわ・・・」
ティアは内心でアシュレイに詫びた。彼の前科を考えれば、使い女達がこういう発想になるのも無理はない。
「そういうわけで、ご亭主もいいですね?」
入魂の作品の命がかかっているとあっては、仕立て屋も肯くしかなかった。
以後、天主塔には柢王やアシュレイが滞在しているとき限定の『開かずの間』ができたという。
さらに余談だが、件の文官は、西国の恋人とは別れたらしい。
ティアがにこにこと上機嫌で笑っている。
「袖はこうして肩口と手首だけ縫ってくれるかな。こう、ドレープをたっぷり取って、腕が全部見えるように」
「かしこまりましてございます」
「それからもう一着は刺繍を、・・・そうだね、蝶が飛んでいると素敵かな。桂花の刺青に映えるよう。――桂花、ちょっと脱いでくれる?」
「――あの」
懇意の仕立て屋と使い女達に囲まれているティアは、目の前に広げられた無数の布の光沢に照らされてきらきらと輝いていた。
「上半身だけでいいから。後ろ向いて、髪を上げてくれる?」
他人がいるところでは反論の言葉も思うに任せぬ桂花は、使い女達の熱すぎる期待の眼差しにおののきつつ、服の留め具に手をかけた。
「そのままそこに立ってて。すぐに写してしまうから」
桂花がそのとおりに背を露わにすると、しなやかな肩から腕への線、細い首筋から腰までが剥き出しになった。
ティアはデザイン用の画用紙に鉛筆を滑らせる。天界最高の貴人は、あらゆる芸術に造詣が深く、たしなみもあるのだった。
(使い女の視線が痛い・・・)
突き刺さるようなそれ――敵意ではなく、むしろ熱心すぎるそれに桂花はひたすら耐えた。
(これを柢王が知ったら、なんて言うだろうな)
最後にティアは、桂花の両腕の刺青を写し取った。
「そこの透ける、そうそれ。それを袖と背中にして、桂花の刺青に蝶が飛んでいるように刺繍してほしいんだ。金や銀の粉も散らしてみるといいかも」
「黒とは、桂花様のお召し物にしてはお珍しいですね。でもお似合いだと思います」
「桂花は白い服が多いからね。とても似合っているけど、たまには別の色もいいと思うんだ」
「さすが若様、センスが良いですわ」
ティアが仕立て屋や使い女たちと話す声を聞きながら、諦め顔の桂花は素早く服を着た。
(お触りがないだけましと思うべきなんだろうか・・・)
さすがにそんなことをされたら、ここを文字通り飛び出して東領のあの小さな安らげる家に帰る衝動が抑えられなくなってしまうところだった。
「あ、それで、最後の一着なんだけど」
「まだあ・・・!」
桂花は危うく叫びかける。
「・・・あの、守天殿。もうこんなにたくさん作っていただきましたから、これ以上は申し訳ないです・・・」
「気にしないで。桂花にはいつもお世話になっているんだから、ほんのお礼の気持ちだよ。ね、あと一着だけ」
感謝されるのは嬉しい。だが・・・これがお礼? お礼になっているんですか、守天殿? ご自分の楽しみのためなのでは?
そんな桂花の内心の声とは裏腹に、話は勝手に進んでいる。
「最後のはやっぱり白で行こう。襟は高くして、固めの感じで。それだけだと面白くないから、こう、前合わせをね・・・」
「まあ!」
「若様ったら! さすがですわ!」
どんなデザイン画を描いたのか、もう追求する気力が桂花にはなかった。
「上着の丈はこれくらいで、ベルトは低めの位置にしてみようか。そうすると、ちょっと色っぽい雰囲気が出ると思うんだ。それでいい? 桂花」
「なんでも結構です・・・」
守天相手に色気を出す予定は桂花にはない。もう反論する気力がないのと同じくらい確かなことだった。
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