投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
アーの髪はまっかっかです。
でも、アーはそれまで、自分の髪の色など気にしたことはありませんでした。まっかっかの髪だと霊獣ギリを召喚できるので、それだけは気に入ってましたが。
でも、ある日こんな噂を聞いてしまったのです。
『守護守天様は黒髪がお好みらしい』
それを聞いて急に不安になってしまいました。
親友の柢王は黒髪で、自分の癖毛とは違って真直ぐです。
守天様のお日様色の真直ぐな長い髪と近いような気がして、二人が並ぶととってもお似合いな気がして、仲間はずれになった気持ちになります。
赤毛の多い南領でもこんなに燃える様な赤色の人は知りません。
自分だけ…。
いつのまにか、「黒髪が好き」→「赤毛は嫌い」に、アーの中で変換され、悲しくなってしまいました。
いつも守天様に髪のハネを切ってもらってるけど、本当は見るのも触るのもイヤだったんだろうかと、どんどん不安になります。
塾の裏林に行き、こっそり黒髪に変化して、泉に映してみます。
自分の身分を隠したいときなどにはよくやることですが、改めて見ると別人のように見えます。もちろん、別人になるための変化なのですが。
「どうしたの?変化なんかして」
授業中だから誰も来ないと思ったのに、声のしたほうを振り向くと、そこには守天様がいました。
教室に戻らない自分を心配して探しに来てくれただろうことは判ってましたが、アーは守天様が自分の髪をどう思ってるかの方が気になります。
「なんで俺だけまっかっかな髪なんだろう」
「何があったの?!誰かに何か言われたの?」
「…別に…」
「私はおまえのストロベリーブロンドが大好きだよ?おまえの強さと優しさを表現した太陽みたいだもの!」
アーはにっこり笑う守天様に勇気を出して言ってみました。
「じゃあ、又髪のハネを切ってくれるか?」
「もちろん!いつでも切ってあげるよ」
そう言うと守天様はアーの頭を抱き寄せ、変化を解いた赤い髪に顔をつっこみ「大好き」ともう一度言いました。
アーは、柔らかなお日様の隣に、燃える太陽も似合うかもしれない。と、やっとにっこりしました。
さて、「守天様は黒髪が好き」なんて話はどこから出てきたのでしょう?はい。もちろん当の守天様が何かの際に思いつきで発した言葉でした。
それがこんなに反応してもらえるなんて!守天様は嬉しくてしょうがありません。
守天様は先ほど切ったアーの髪を、大事そうにしまいました。
アーの髪でいずれ枕を作るつもりです。そうしたら夢の中でもきっとアーに会えるはずです。ハネだけなので枕の量になるのはいつの日になるか…ですが。
それから、次はどんなネタならアーがひっかかって…もとい、興味をもってくれるかと、幸せそうに考え始めました。
守天様が幸せなら、人間界も幸せになるそうです。きっと人間界に幸せの光がふりそそいでいることでしょう。どっとはらい。
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