投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
新書版よりー
「てめぇが恋人を作らないから、男共は皆悲惨な目にあってんだぞ!」
今日も、いつものように「守天に彼女をとられた」という先輩の文句を聞かされたアシュレイ。
俺だって好きな子をとられた、と答えたら、じゃあ何でそれでもティアと一緒にいるのかと返された。
−ティアは綺麗で優しくて頭が良くて、自分達とはぜんぜん違う。女子が好きになって当たり前じゃないか。それで親友をやめたりしない。
だけど、そんな彼女たちより、自分を優先してくれることも、恋人ができたらなくなっちゃうのかな…。
ティアに恋人が出来たら、自分達は今までみたいにずっと一緒にいられるんだろうかという不安もあり、先輩たちに文句を言われ続けるのも煩わしいのもあり、先ほどの言葉が飛び出してしまった。
恋人なんか要らないーそんな返事を期待してたのかもしれない。でも、全く違う答えがさらりと返ってきた。
「じゃあ、おまえが恋人になってよ」
想像だにしてなかった返事だった。
ふざけてんじゃねえ!と答えようとしたが、ティアの真剣な顔を見たら軽い言葉なんて出せなかった。
(俺、どう答えればいいんだ?!)
そして昼寝時にされる行為も思い出してしまい、もう涙目である。
ティアは溜息を一つつくと、助け舟を出した。
「大体、そういう話は先に柢王にしてよ。柢王にふられたって子達が、私に泣きついてくるのだから」
みるみる生気を取り戻したアシュレイは「柢王だな、よし!」と柢王のところへすっとんで行った。
ティアはその姿を見送りながら、もう一つ深い溜息をついた。
実は、「強い男が好き」という古来の本能を持った女子もいたのである。
が、可愛いアシュレイに色目を使いそうな女子は、全てティアがまなざし落としで洗脳していたのだ。
後に柢王にばれて「恋人には狭く、独占欲の塊」といわしめる所以である。
本命に使わないのは、術で心を縛るようなことはしたくないのか、鈍すぎて術がかかり難いと思っているのか..。
そして今日も気安く女子に声をかけ、「恋愛相談」という情報収集に余念のないティアであった。
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