投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
昔、昔、あるところに、後に冥界教主様と呼ばれた、金髪で、妖艶なシンデレラがいました。
ある日、シンデレラの父が再婚し、新しい家族が増えました。
しかし、シンデレラは、新しい家族の、桂花とアシュレイに、常識も知らないのかと、冷たく扱われておりました。
「ご自分の部屋くらい、ご自分で掃除して下さい」
と、桂花が言えば、
「掃除とはなんだ?」
怪訝な顔のシンデレラに、アシュレイは、びっくりした。
「そうじも知らないのかっ!?」
「そんな言葉は、我の辞書にはないわ」
完全に開き直る、シンデレラ…
「…この人を、片付けてもいいですか…」
桂花は、氷の微笑を浮かべ呟いた。
その言葉に、アシュレイが、「じゃ、俺がっ」とウキウキするので…
「本当に片付けてはいけませんよ…」
ひとつため息をついた桂花は、脱力感からなんとか立ち直って、
「まさか、アシュレイができることを、あなたができないなどと、おっしゃいませんよね?」
「その手にはのらぬ」
「自信がないなら、仕方ないですね」
「サルにできる事を、我ができぬわけがない」
「それは、証明して頂かないと。
それが終わるまで、今日の王宮主催の舞踏会には、参加させませんよ」
目が笑っていない微笑を浮かべる桂花と、踏ん反り返るシンデレラの間に、
絶対零度の青白い火花が飛び散った。
…怖っ
近くにいたアシュレイは、凍傷になりそうな気がして、後じさった。
王宮の舞踏会に出かける、継子達を見送って、シンデレラは、掃除とは何の事だ?と首を傾げておりました。
わからぬものは仕方ない。
町に行って、我のこの美貌で、代わりにそうじとやらをさせる下僕を見つければよい。
窓から出掛けようとしていたところへ、魔法使いアウスレーゼ様があらわれて、
「そなたの望みを叶えてやろう」
と、超棒読みでおっしゃった。
「なんでも?」
キラリと目を光らせたシンデレラに、肩をすくめる魔法使い様。
「仕方あるまい、それが、仕事だそうだ」
「ならば、我の美貌を引き立てる衣装と、王宮までの足が欲しい。あぁ、そうじとやらもな」
「ただで、と言うのはつまらないね…毒花も良いが…
今は、野に咲く花の気分なのだよ」
扇で優雅に仰ぎながら魔法使い様。
「それならば、うちのアシュレイを差し出そう」
「それは愉しみだ」
ふっと笑って、魔法使い様が、魔法を使うと、シンデレラの望みは叶っていた。
シンデレラは、その美貌を最大限に利用して、王子をたぶらかし、
一度引く方が効果的と考えて、わざとガラスのくつを忘れて帰り、
まんまと王女となりました。
王子が王様になると、シンデレラは、国の名前を「冥界」と改めさせ、自らを「教主様」と呼ばせました。
王様は王座の飾りとも囁かれ、絶対教主様制度が作られた。
教主様の気に入らない者は、即刻、処刑…
国が滅ぶまで、酒池肉林…
めでたし、めでたし。
………………………
柢王「めでたくねぇだろ。桂花は、どうなったんだ!」
桂花「どうにもなりませんよ」
冥界教主様「残念ながら、何もしてはいないよ。その前に、国が滅びてしまったのでな」
アシュレイ「お前、人を勝手に取引に使うな!」
ティア「アシュレイ、何もされてない???アウスレーゼ様、アシュレイには、手を出さない約束でしょう」
アウスレーゼ「手を出してはいないよ。あやつが、約束を違えたからな」
冥界教主「あなたが、我の楽園を、滅ぼしたのか!?」
アウスレーゼ「約束を守らぬ、そなたが悪い」
冥界教主「約束は違えるものよ」
アウスレーゼ「罰が当たったのではないかな」
………………………
むかし、むかし、あるところに、王様を篭絡し、国を自らの楽園とし、
魔法使いとの約束を違えて、国を滅ぼされる原因を作った、
冥界教主様と言う名の傾国の美女がいた。
めでたし、めでたし?
Powered by T-Note Ver.3.21 |