投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
誰も訪れない地の果てで、泣いて泣いて涙が枯れるまで泣いた。
やがて涙も出なくなったころ。
涙と一緒に悲しみ以外の全ての感情を失ってしまったかのように、心の奥にはもう何も残ってはいなかった。
愛する人の魂を持った命は全力で生きていて、新しい時を紡いでいる。
それを見るたびに愛する人は永遠に失われ、今自分の腕の中にいる彼は決して自分が愛した人ではないということを思い知る。
吾に“永遠”を教えてくれた人…。
その永遠は今、吾の目の前に絶望となって広がっている。
あなたがいない世界を生きていくこと…。
それは永遠より長く、言葉では言い表すことが出来ないほど悲しい。
吾に永遠を教えてくれた人はいなくなってもなお、こうして永遠の時を示す。
もしも あの時 あなたと出逢わなかったら。
もしも あの時 あなたの手を取らなかったら。
もしも あの時 あなたを 愛さなかったら。
吾は今、こんなに悲しく孤独な思いはしなかったのだろう。
だけどあの時
あなたと出逢わなかったら。
あなたの手を取らなかったら。
あなたを 愛さなかったら。
“永遠”を知ることも、“絶対”を信じることも、自分を、誰かを愛することも出来なかった。
生まれてきた喜びを、生きてきた強さを認めることが出来なかった。
そうして吾は気付くことが出来た。愛する人との出逢いを否定することは今の自分を否定することだ、と言うことに。吾の中のあなたを、あなたの生き方を否定することだ、と言うことに。
出逢わなければ良かったなんて、決して思うことは出来ない。
あなたに逢えて、あなたを愛せて、あなたに愛されて…良かった。
泣いて、泣いて、泣いて。遥か昔に枯れ果てたはずなのに。
紫微色の頬を涙が流れ落ちた。
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